北海道で生まれ育った中高年世代の方々に北海道を代表する山菜はと尋ねると、大方の人がためらうことなく「ギョウジャニンニク」と答えます。雪に覆われた北の大地に黒い土がのぞきはじめ、まぶしい太陽が春の訪れを告げる季節になると、山深い傾斜地にひっそりとギョウジャニンニクは芽吹きます。かつては近隣の山野で手軽に採ることが出来た「山菜の王様」ギョウジャニンニクは、その美味しさと 滋養、薬理効果による人気ゆえに乱獲され、また山野の開発も相まって山奥へ生息地を後退させていき、今では自生地を見つけることがむずかしい、幻の野草となりつつあります。そのため、市場に出まわる量も極めて限られた希少な天然野草です。
ギョウジャニンニクは、ユリ科ネギ属の多年草で、その仲間にはタマネギ、ニンニク、ニラ、長ネギなどがあります。学名は発見者であるイギリスの植物学者ヴィクトリアにちなんでAllium victorialis L,と名づけられています。ギョウジャニンニクという和名は、その昔、山野で修行中の僧(行者)たちが体力をつけるために栄養源として食べていたといわれていることから、行者が食べるニンニクに近い臭いのする植物として植物学者の牧野富太郎先生が命名したそうです。
かつてギョウジャニンニクはアイヌ民族の人々が、キトピロ、ヒトピロなどと呼び大切に食していた健康野草です。ギョウジャニンニクを食べたり、火にくべて強烈な臭いのする煙をおこしてそのにおいを体に浴びたりして、肺炎、風邪、下痢から火傷、打ち身、消毒など万能薬として使用されていたようです。
ギョウジャニンニクは疲労回復効果に優れている他、ギョウジャニンニクに含まれる硫化アリルが血液中の脂の酸化を防止するので血液をサラサラにしてくれます。ネギ属植物はタマネギをはじめ血液をサラサラにする機能がよく知られていますが、ギョウジャニンニクは中でも特に血液サラサラ効果の高い硫化アリルが多く含まれています。また、硫化アリルは血管壁に付着した血小板の固まりを除去する働きがあるため、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化の予防効果が期待できます。
主な硫化アリル群 | 期待される効果 |
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アリシン | 強い抗菌作用があり炎症の抑制・防止の効果がある。また腫瘍細胞の増殖を抑制したり、胃粘膜の損傷予防や抗ウィルス効果、風邪予防効果、美肌効果がある。 |
シアリルジスルフィド | “疲労回復効果”と“脂肪燃焼効果”による「運動持続作用」がある。 |
メチルアリルトリスルフィド シアリルトリスルフィド |
「血小板凝集阻害」や「血栓溶解」の効果がある。 |
アホエン | アリシンを熱するとできるアホエンには血中の過剰なコレステロールを抑制する作用がある。このほか高血圧抑制、中性脂肪抑制、 尿酸低減、疲労回復、美肌効果、γGTP抑制などがある。 |
皆さんは米国国立がんセンターによる「デザイナーフーズ・プログラム(食品によってがんを防ぐ計画)」をご存知ですか?その中で、がん予防食No.1としてニンニクが挙げられています。ニンニクに含まれている「硫化アリル」と呼ばれる成分には、私たちの免疫の担い手であるナチュラルキラー(NK)細胞の働きを劇的に高め、免疫力を向上させるという研究報告があり、がん予防食としてのパワーはこの「硫化アリル」が大きく関与していると考えられます。
寒暖の差の激しい北海道で長い年月をかけて成長するギョウジャニンニクは、ニンニクに比べ驚くほどの「硫化アリル」をその身に蓄えていきます。何とその含有量はニンニクのおよそ4倍と言われています。
ギョウジャニンニクを乾燥粉末などに加工する際も、タマネギ同様にバイオラショナルコントロールによって、ジアリル ジスルフィド等の硫化アリルを選択的に増加させる処理を行い、健康維持に役立つ生体調節機能を賦活化させた食品原料を製造しています。
弊社商品の製造に活用している製法特許BRC製法(特許 第3725079号「ネギ属植物処理物」)は、 2022年1月21日をもちまして特許期間満了となりました。
タマネギの辛味成分を美味しさや健康に役立つ成分へと変化させる画期的な製法であるBRC製法は、引き続き弊社のタマネギ製品加工に活用してまいります。